もじのブキミサ

novel By pega

あめ

 

そう書くと

雨を想像し

 

子どもがあめをなめる

 

そう書くと

飴を想像し

 

もじは不気味さを増す

 

それはなぜか

その理由を突き止めた

田中はこう語った

「いや、結局ことば要らないんだ」

 

 

 

少しもおおきくなく

たいへん小さい

 

なにも不自由なく

生きてきたのだけど

たった一文字に悩まされるとはね。

 

 

樽の香りを充分に感じる

このワインには

作り手の、手の渋ささえ感じる

 

感じるっというのは

いや、もしかしたら

それこそがブキミサの正体かもしれないし

 

いや、そうではないかもしれない

 

 

 

 

 

と、書くとわかるだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたの一歩と同じようぐらい

この一文字には意味があった

 

淡いオレンジにも

意味を感じとれる

 

 

 

 

 

 

そんなことない

覆せるような

直感を感じかたを全身を

 

「飛ぶ」に感じるのです。

けど

「飛ぶ」は

先生に教えてもらえませんでした

 

 

 

当たり前でしょう

なぜなら

それは

文字なのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしには山に見えません

やま

に見えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう感じるように

もじは私を犯すのです

 

まだ足りないと

わたし。

をおかすのです


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