- 俺は喫茶喫茶太郎
幸か不幸か
喫茶店に愛された男だ。
少し遠出して見かけた喫茶店。
酸味を包み込むような苦味の深さを喉で味わう
2口
タバコに火をつける
ライターが合図であったかのように、ピアノが耳にとおりはじめる
ピアノもコーヒーも詳しくはない
だが
鍵盤を押して
音が鳴るまでの
しっとりとした時間
深み
調和
滑らかさがコーヒーに合うことは知っている
タバコがたんたんと削れていく
音と絵が重なる
けむりが壁に沿っていく
複雑な映像を
描写を
いま、完璧だ。
俺は喫茶喫茶太郎
今日も
少し伸びたひげをさすりながら
時間に酔っている