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線路は曲がっていきました4

ますます濃さを増す

うっそうと生い茂った森では

肩にのしかかるような空気が

肺を泳いで

肩から抜けていきます

 

 

 

母の足元にぴったりと張り付きながら歩いていました

木の後ろには妖精がいるはずだと思っても

妖精の顔だけがイメージできず

なぜかそれが怖くなってしまって

全ての木の後ろが怖くなってしまって

だめでした

 

 

白いスカートを握る手に力が入ると

母は私の前髪を愛おしそうに流してくれました

 

 

15分か30ふん

いや、一時間か分からないほど歩くと

母が足を止めました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は目の前の景色に息をのみました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

柔らかで明るい光が

木のベンチを照らしていました

 

周りには木が生えておらず

 

とても不思議な空間で

ベンチは昨日買ったかのように真新しく

 

まるでこの世ではありません

 

雑音も閉ざされるなか

 

 

 

 

母と私は歩みだし

ふわふわのクッションを踏みしめ

ベンチへ座りました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄の背中を見ながら

徐々に記憶が蘇ってきました

 

そういえば

帰ってから呆然とする私に兄がしつこく理由を聞いたのです。

 

幼い頃でしたから、説明という説明になっていなかったでしょうに

 

今歩いている道と

当時母と歩いた道が

同じように見えます

 

 

私が思わず話だそうとしたとき

兄が遮るよう

 

「母ちゃんいるかな」

 

私は兄の気持ちが分かりませんでした

開けかけた口に再び封をし

分かるはずもない兄の感情を

楽しいのか、悲しいのか

分からない感情を

拾い上げることに徹しました

 

私は、寂しかった

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