ただ黄昏にたたずむ夕日

novel By pegasasudon

今、母が逝った

朝というのは晴れ晴れしく何ごともしらない

せみが鳴いていたような音ははるか

意識とともにはるか

気づけばなど簡単にいうが

許してほしい

俯瞰的にみれば豆粒

目の前をみればこれは

流れとは怖いもので

私もこうなるかと思うと寂しい

と、思い気を紛らわさなければなみだ

たたずむ周りはすでになみだ

くそ、死んでしまえ

 

呼ぶ声に応えると飯ができていて美味い

囲む景色はまた日本的でそれは

金があるとは言ってないが中身はどうあれ

鍋は冬がいい

夏が暑いからだ

ならば、逆もしかり

私は患っていた

もう治らないと自慢げに医者に言わせた

母は泣く嬉しくて私も泣いた

また鍋をつつこうな

お母ちゃん、鍋は冬にしてくれよ

 

朝も落ち着くと我々も落ち着いたようだ

さてさて、そそくさと動き出す

まるで器のようになってしまった母

この母は豆粒か?

母ちゃん、待っとけよと言ったのは夕日に

は、何も言わず私を見ていた


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