「ほら、ご飯よ。早く食べなさい。」
何気ない風景
握り飯
味噌汁
味気ない食卓
「隣の木村くんはさぁ、昼ごはんにおむらいすという奴が出るんだぜ!なにのさ、うちはどうなってんだよ。」
「文句言わないの。それに、おむれいすとかより、母さんの握り飯の方がよっぽど美味さ。」
「お・む・ら・い・す!ちぇー、ご飯食べたら、また遊びに行くからさ!」
「はいよ。よそ様にご迷惑かけないようにね。」
「うんうん」
それは
暮らしであった
急激な進化
急激な進歩
に
ついていけない我々は
目の前のオムライスをただ喰らい尽くし
必要がなければ捨てられ
新たにステーキが用意され
売れなければ捨てられる
金に回されている
実感もなく
悪気もなく
当たり前という
道をただ歩いた
ネットにより
世界がつながったが
人は
心は繋がらない
薄くなる一方
論理的に
より科学的に
否定できなくなる
そんな過程が
人を軽くしている
川の流れに逆らうことは無理だ
リストラ
借金
明日に希望を抱けなくなった人は
そこでようやく
握り飯を思い出す