novel By pega

旋律が走る

鍵盤をはじき

空気が震え

みどりに生い茂る

オーケストラの余韻

森の余韻

すいてきの端

鏡の冷酷さ

水色のあまさ

鳥が鳴く

 

もう一音

じっくりと

さきほどより低く

それはひくく

床がきしみ

たちまち空間が取り戻される

瞬間

空気が吸えなくなり

熱さが脳を燃やす

 

部屋にすっと

一音が足される

重いものをゆっくりと置くように

雑誌を開くように

包丁を洗うように

安心する

緊張感が安心を快楽にし

溺れていくさなか

斜めに角度を観た

それは確かであり不確かな


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pega