体感速度1.25

novel By pega

彩られた何かに嫌気がさしたとき

よく行く場所がある

 

自分の中ではよく出来た看板が細かく道案内してくれ

ただ心を進ませ、身体を引っ張り込む

 

明日何しようか迷っていたら必ず友達が教えてくれる

「公園に行こう」

そこには身体が先へ行き、心は引きこもる

 

帰路、トボトボ歩いていたら、コンビニがあって、肉まんを買って、伯父さんに声をかけられる

言われたまま喰いさしをあげると飼っていたヤモリが気になったので、今日は帰った。

 

雨が降っていた

そんなときも友達が教えてくれる

「今日こそ公園へ行こう」

心は沈んでいく一方だ

 

なんだか自分が良く分からないときがある

自分は、ママとパパの子どもで、自分の子どもは、自分とママの子ども

 

そんなこと知らないと思うけど、今日も元気に帰ってくるパパの声で、ヤモリを思い出した

 

日差しがコンロで我々が逆さまに焼かれるときも友達が教えてくれる

「今日は絶対に公園へ行くからな」

しつこいなんて思わない

心は連れて行かないから

せみがうるさい

これは特に聞こえる

なによりも聞こえる

きっと、自分より弱い立場の生き物だからだ

自分が命をコントロールできる

そんな状態に高揚している

 

だから今日、ここへ来た

『右を左に1.25cm★』

緑色の看板に紫の字で書かれたルートこそ至高

全ての歯車が重なってきた

 

今日も朝、玄関から友達の呼ぶ声が聞こえる

それがキッカケのように、ママとパパが抱きしめあって愛し合って啜り泣いている

中学生には不釣り合いのヒゲを3匹目のヤモリに食わせて146日ぶりに窓を開けた

「お前らの手には乗らない!!!」

 

 

 

馬鹿が。騙されとけ。


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