ふわふわと水面を揺らす心は、
それはそれは穏やかで人を汚すこともある。
執着や嫉妬の類が蝕む様子を拭おうとする人もいれば、自ずから沈みゆく人もいる。
何食わぬ顔で白米を口へ運び、ひと段落すれば、味噌汁へ。
熟練された動きには、あってもおかしくない無駄すらない。
世間から必死に逃れる様子すらないのだから、もはや才能のように思える。
激しい揺れに順応し、事実を受け止め、誰よりも早く光を見つけ出す。
偉大だ。初めの苛立ちは、消えた。
だからこそ刺激が直へ届く。
人間用に作られたフィルターを一枚かまさなければ、その涙はひどく堪える。
心の根に伸びた手のひらが、やさしい。
これまでの答えを教えてくれたが、もはや必要なかった。一生懸命で、素直で、そんな言葉の羅列では行が足りなくなる、心。
私が名前をつけるなら、心で良い。
それが一番気持ちいい。
ふわふわと浮かぶ雲を写したのは、生物を抱擁する水面で
私を箱から逃したのは、白い心。