「またね」
「うん」
いなか道
街灯もなく夕暮れが帰路を案内する
カエルの声と自転車の音
セミも鳴き止む時間
紫と青
オレンジと緑
はなびとすいか
うちわと汗
しょっぱい涙。
グラウンドにはボールを打つ音
走る音
一生懸命な声
それらが混ざり合って
気温すら巻き込んで
これがもう二度と来ないなんて
今は関係なくて
目の前のことしか頭に入らない
夢中で暑さを呑み込んだ
いなか道
繋いだ手
しめった空気
夕暮れ。