もくもく

novel By pega

換気扇の下で、昨日のことを思い出す。

「またか」

それとなく近づいてきた

避けても避けても、しつこく執拗に影が迫っていた。

もうそこから記憶が無い。いやむしろ、ある。そう言った方が分かりやすいかもしれない。どうせ、誰も信じれないようなことなのだから。

朝、換気扇の下へ行く。

昨日のことを思い出す。

もくもくとした煙と、青くて赤い火種がジリジリと現実へ昇華させていく。

「あの女は一体…」

必ず夜、行く場所がある。

失踪。その手掛かりを探そうなんて思っていないけど、けど、何か「面影」を求めていく。俺は弱い人間だから。

今日の朝はいつもと違う。

霧の中にいる。眠っていたと思ったが、いや、今日も連れてこられたのか。しかし、それは終わっていて、いつもの朝だと思って。

違う。

何かが狂おしく壊れていく。

音を無く、専門家に泣き縋りたい状況で、こんなことあってはならない。これは俺だけ?

パニックだ。これまで一人で抱え込んでいたが、もはや、自我を保てる状態じゃない。

「目覚めろよ」

誰に話しかけているかも分からず、その声だけが反響せず、辺りを撫で回す。

「もういいんだよ」

それは聞き覚えのある優しい声。

朝、換気扇の下にいる。

火をつける。

俺は

泣いてる。


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